COLUMN コラム
特集 vol.14 断熱がもたらす豊かな暮らし〜その2-2 断熱材編〜
<その2-2:断熱材編>
工事編、続いては、断熱材に関するお話です。
内窓を設置して開口部からの熱の出入りをブロックしたら、次は外気に面する壁・天井・床に断熱材を施工します。使用する断熱材の種類は繊維系、天然素材系、発砲プラスチック系など多岐にわたります。内廊下型のマンションや中住戸では、外気に面している部分が少ないので断熱材を入れる範囲が少なく済みますが、1階・最上階の住戸や角部屋では断熱範囲が広いので、断熱材の選定がとても重要になります。
リノベエステイトのリノベーションは、床・壁・天井をすべて撤去し、住宅をスケルトン(※)にすることを推奨しています。キッチンや浴槽を取り換えるような部分リフォームでは断熱材を追加で施工することができませんが、一度すべて解体するというフルリノベーションの利点を活かせば、低コストで高性能な断熱改修を図ることが可能になります。
(※)スケルトン…既存の設備・内装(壁・床・天井)をすべて撤去した、構造体だけのコンクリートむき出しの状態の建物のこと。建物をスケルトンの状態にすると、キッチンや浴槽などの水回りの位置を変えることができ、間取りを自由自在に変更することができます。
リノベエステイトでは、改修前後の住戸の温熱計算を行い、各々の断熱材を用いた場合のUa値や光熱費のシミュレーションをチェックします。そして、それらの値を工事費と天秤にかけながら、それぞれの住戸に最適な断熱材を選定しています。
ここからは、リノベエステイトで施工実績がある断熱材の特徴をご紹介いたします。
〇グラスウール~無機系~
<壁面をグラスウールで断熱>
リノベーションにおいて、最も一般的に用いられている断熱材です。リノベエステイトでは高性能24kg,t=50のものを標準採用しています。施工性が高く、壁・床・天井どこにでも柔軟に施工することができます。下地内にグラスウールを敷き詰め、防湿シートを貼って完成です。熱伝導率は他の断熱材にやや劣るものの、手軽にコスパよく断熱を行うにはもってこいの素材です。
〇ミラフォームλ(ラムダ)~発砲プラスチック系~
<床面をミラフォームλで断熱>
ミラフォームλは、押出法ポリスチレンフォームの中でも最高レベルの熱伝導率0.022W/m・kを実現した高性能・次世代型断熱材です。現場でミラフォームλをカットし、躯体面に専用ボンドで貼り付け、最後に気密テープをしっかりと貼って完成です。厚さが薄くても断熱効果が高いため、室内面積に影響を与えることなく、外周壁の断熱を行うことができます。また、耐湿気に優れているため、1階住戸の床断熱材としても採用実績があります。
〇発砲ウレタン~発砲プラスチック系~
<壁面と天井を発砲ウレタンで断熱>
現在、新築マンションのほとんどの断熱には発砲ウレタンが採用されています。新築の場合、専用トラックを横付けし、長いホースを用いて吹き付け作業を行うのですが、中古マンションのリノベーションの場合は、トラックを横付けする場所がなかったり、ホースの長さが足りなかったり、作業の許可が下りなかったりと、施工できない場合が多いです。この物件では、持ち運びできるボンベタイプの発砲ウレタンを用いて、マンション高層階の天井・外周面の断熱を行いました。セルロースファイバーと同様に躯体に直接吹き付けることができるため、躯体の凸凹にもしっかりフィットし、高い断熱効果をあげることができます。
グラスウールやミラフォームλを採用する場合も、部分的な補修については、発砲ウレタンのスプレー缶タイプを用いて断熱補強をしていきます。細かな隙間にも対応できるため、非常に使い勝手のよい断熱材です。
<中古住宅ならではの凹凸をウレタンスプレーで補強 >
<換気ダクトの隙間もしっかり断熱 >
〇セルロースファイバー~木質繊維系~
セルロースファイバーは、新聞紙等の再生紙を原料とした自然素材の断熱材です。セルロースファイバーの特徴は、なんといっても体に安全な材料であるということ。再生紙とともにデンプン質の糊を吹き込むことで躯体に大量のセルロースファイバーを密着させます。吹き込み用の機械はスーツケース程度の大きさで、エレベーターでの搬入が可能なため、タワーマンションの高層階でも容易に施工が可能です。約1日で吹き込み作業が完了し、その後専用の気密シートを貼り付けて施工完了です。リノベエステイトで施工実績のあるアップルゲートのセルロースファイバーであれば、防耐火構造の認定を受けており、防火性能に優れているため、万一火災が起きた時にも安心です。マンションの最上階等、天井部分に断熱材を施工する必要がある物件については、躯体にしっかり密着して断熱できる、安心・安全なセルロースファイバーをおすすめしています。